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9月19日(水)
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くすり

  • 1.高血圧の治療薬
  • アンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)
    アンジオテンシン2は、強い血圧上昇因子で、動脈の平滑筋にあるアンジオテンシン2の特異的結合作用部位であるアンジオテンシン2受容体(AT1)に働いて、血圧上昇、また副腎皮質からのアルドステロン分泌を刺激します。アンジオテンシン2受容体には、AT1タイプとAT2タイプがありますが、この薬はAT1にとくに強い親和性をもって結合するために、アンジオテンシン2の作用がこの部位でブロックされ、血圧が下がります。
    なお、催奇形の面から妊娠、授乳中の婦人には安全性の立場から使えません。

    アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)
    アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を阻害することによって、アンジオテンシン2の産生を抑え、血圧を下げます。ACEIに関しては、腎保護効果があるという意見と、ないという意見があるため、治療にあたってはまずARBが選ばれます。副作用としてから咳が起きますが、服用を中止すれば収まります。また、催奇形の面から妊娠、授乳中の婦人には安全性の立場から使えません。
  • 2.新薬の動き
  • 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療薬として日本では2014年3月に厚生労働省によって使用が認められました。
    トルバプタンは既に、海外では低ナトリウム血症の治療薬として、2009年6月からアメリカ、同年8月から英国やドイツをはじめとする欧州各国で販売されており、日本でも、2010年12月から水利尿薬として心不全における体液貯留を対象に、2013年9月からは肝硬変における体液貯留を対象に販売されています。
    生体内のバソプレシン(抗利尿ホルモン)が腎集合尿細管のバソプレシンV2受容体を刺激すると、嚢胞壁の増殖をうながすcAMP(サイクリックAMP)が上昇します。(トルバプタンの作用機序の詳細は「成因」の項参照)
    そこで「トルバプタン」が持つバソプレシンV2-受容体拮抗作用によって、ADPKDの腎嚢胞の増殖・増大を抑制することで、疾患の進行を遅らせること可能であると考えられ、1,400人以上のADPKD患者を対象に世界15カ国で3年間の国際共同開発試験がおこなわれました。その試験結果では、「トルバプタン」は、プラセボと比較し腎臓の容積の増加率を約50%有意に抑制しました。嚢胞の増大抑制と関連があると考えられますが、血尿や疼痛の頻度が減少しました。腎機能(eGFR)の低下については、低下率を約30%緩和しました。副作用としては尿量の増大による多尿・口渇があり、頻尿が問題となります。また、5~6%に肝機能障害が起こり、約2~3%の患者さんでは肝障害が理由で服薬継続が出来なくなっています。そのほかに、血清ナトリウム値の上昇、尿酸値の上昇、緑内障の悪化などがあります。


    その他の新薬
    ソマトスタチンアナログ(オクトレオチド)は臨床試験で嚢胞の大きさに変化が認めらず、mTOR阻害薬(シロリムス,エベロリムス)は臨床試験で嚢胞縮小作用と腎機能低下の抑制作用がともに認められませんでした。トリプトライドPKDは、動物モデルの新生児期に投与した場合に嚢胞の進展を抑制し、中国で臨床試験が行われています。
  • 3.抗菌剤
  • 感染性嚢胞腎の治療に使われます。嚢胞内に浸透するのは脂溶性薬剤に限られますので、通常はグラム陰性桿菌に効果の高い脂溶性薬剤が考慮されます。

    ※グラム陰性桿菌…桿菌とは体の形が細長い細菌をいい、グラム陰性桿菌とはグラム染色液に浸しても変色しない桿菌のことをいいます。この種類には病原性のものが多くみられ、ピロリ菌、チフス菌、肺炎桿菌、緑膿菌などがこれに属します。
    ※脂溶性薬剤…油にとけやすい薬剤をいいます。ビタミンE剤もこの仲間です。

    塩酸シプロフロキサシン
    ニューキノロン系と呼ばれ、抗生物質に匹敵するほどの抗菌力を持つように合成された抗菌剤です。ブドウ球菌、レンサ球菌などの化膿菌や、リン菌、大腸菌、シゲラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌、そのほか炭疽菌などの病原菌に対して殺菌的に作用します。したがって、呼吸器、泌尿生殖器、のど、眼、耳鼻科領域の感染症、乳腺炎や外傷・手術後の感染予防に広く用いられます。なお、「ケトプロフェン」(消炎・鎮痛・解熱剤)との併用で、けいれんを起こすことがあります。また、カルシウム含有剤との併用で、相互作用が起こることがあるので注意を要します。
    脂溶性薬剤ですが、抗菌力に限界がありますので無効の場合にはレボフロキサシンが有用との報告もあります。

    トリメトプリム-スルファメトキサゾール(ST合剤)
    サルファ剤(スルファミンを母体とした合成抗菌剤の総称)の一種である「スルファメトキサゾール」と、「トリメトプリム」という抗菌薬を配合した薬です。2種類の薬の協力作用によって、従来のサルファ剤に耐性ができて効かなくなった菌の感染症にも、効果を示します。菌の発育を阻止して、菌を殺します。呼吸器系や尿路系などの感染症に用いられます。
    作用が強い反面、重い副作用が起こる可能性もある薬なので、医師の指導をよく守って服用して下さい。通常、他の薬が無効の時や使用できない時にのみ使われます。

    エリスロマイシン
    マクロライド系抗生物質といわれるもので、殺菌作用はありませんが、細菌の発育を抑制する作用があります。ブドウ球菌、レンサ球菌、リン菌、ジフテリア菌、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマなどに効力を示すので、皮膚、呼吸器、泌尿生殖器、眼、耳鼻、歯科などの感染症に広く用いられます。
    内服は発疹などの過敏症状、食欲不振、吐き気、胃痛などが起こることがあります。一時的な難聴の報告もあります。また、併用薬の肝臓での代謝を抑え、その作用を増強する性質がありますから、併用薬の減量が望まれます。

    クリンダマイシン塩酸塩
    リンコマイシン系の抗生物質で、細菌の発育・増殖を抑制する作用があります。ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌などに効力を示します。
    副作用としては、発疹などの過敏症状や下痢、食欲不振、腹痛などが起こることがあります。また、まれに過敏症として、骨髄障害、肝機能障害、腎不全症が起こることがあります。
    なお、食道につかえると粘膜を傷つけるので、多めの水(コップ1杯くらい)で飲み下しましょう。

    (参照:『多発性嚢胞腎の全て』P.307、330-333)
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