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6月25日(月)
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くすり

  • 1.基礎治療薬
  • 全身性強皮症の症状としてあらわれる異常は、炎症に伴う免疫異常と皮膚や肺などの臓器にみられる線維化です。よって、全身性強皮症の症状の全体をコントロールしようとする基礎治療薬としては、炎症や免疫異常を抑えるものと、線維化を抑えるものの2系統が存在します。
  • (1)ステロイド薬
  • ステロイドは、元来ヒトの副腎皮質で産生されるホルモンを化学合成したものです。抗炎症作用と免疫抑制作用があるため、膠原病の治療ではよく使われますが、全身性強皮症は他の膠原病と比較してそれほど炎症が強くはあ治療に反応する早期例であれば少量で皮膚硬化を改善することができます。但しどの患者さんでも有効なわけではありませんので、有効性が期待される患者さんの適用基準が定められています。([1.疾患]<治療>1.皮膚(1)皮膚硬化[1]ステロイド薬による治療、を参照してください)

    プレドニゾロン(錠剤)
    飲み薬としてよく用いられます。「プレドニゾロン」の副作用には、うつ状態、眼圧亢進、感染症、けいれん、血栓症、硬膜外脂肪腫症、骨粗鬆症、骨頭無菌性壊死、消化性潰瘍、膵炎、精神変調、副腎皮質機能不全、糖尿病、白内障、ミオパシーなどがあります。

    メチルプレドニゾロン(注射用)
    浮腫や高血圧が問題になる症例でよく用いられますが、全身性強皮症では皮膚硬化がひどい場合や抗RNAポリメラーゼ抗体が陽性の場合にステロイドパルス療法が考慮されます。
  • (2)免疫抑制薬
  • 強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があり、ステロイド薬が効かない場合や副作用でステロイド薬の継続が困難な場合に使われます。

    シクロホスファミド
    抗がん薬として開発され、効果が高い半面、骨髄抑制に加え、出血性膀胱炎、膀胱がん、卵巣機能障害(無月経など)、精子の減少、間質性肺炎などの重い副作用があります。
    早期肺線維症に対する有効性が欧米における臨床試験で確認されたことにより、近年は早期肺線維症の治療薬として推奨されています。また同臨床試験でシクロホスファミドは皮膚硬化に対しても有効性が示されました。シクロホスファミドの投与方法としては飲み薬と注射の両方がありますが、副作用が少ないことから、月に1回注射をするパルス療法がよく用られます。

    ※出血性膀胱炎…「シクロホスファミド」が体内で代謝されてできた物質が尿に出て膀胱を刺激することで起こる副作用です。

    シクロスポリン
    リンパ球の働きを抑制し、強力な免疫抑制作用を発揮します。強皮症では皮膚硬化に有効であったとする報告がありますが、皮膚硬化に対する有用性は確立されていません。しかし強皮症腎クリーゼを誘発するという報告もあり、使用にあたっては注意が必要です。
    高血圧、多毛、腎機能障害などの副作用がみられます。また、グレープフルーツと一緒に服用すると、血中濃度が上昇することが知られています。
  • (3)抗線維化薬
  • D-ペニシラミン
    遅効性抗リウマチ薬の1つで、かつて、全身性強皮症の抗線維化薬として広く使われていましたが、欧米の試験で有効性が確認できなかったことや、薬疹、腎障害などの副作用が多いことから、近年は推奨されません。
  • (4)新規治療薬
  • 有効性や安全性はまだ十分に証明されていませんが、既に実際に治療が行われているもののうち、今後の発展がある程度期待できるものを紹介します。

    自己造血幹細胞移植
    病気を引き起こしていると考えられている血液中の免疫系の細胞を大量の免疫抑制薬などで消去した後に、本人の造血幹細胞を移植して、正しい免疫細胞群を再構築しようという治療法です。2012年、初期進行性びまん型全身性強皮症に対する自家幹細胞移植の第Ⅲ相治験のASTIS TRIALで、初期進行性びまん型全身性強皮症に対し、早期に自家造血幹細胞移植を行うことで、非喫煙者の場合、シクロホスファミド投与を行った場合と比べ、1年後以降の無病生存率が改善することが示され、欧州リウマチ学会で発表されました。日本でも2011年から臨床第II相試験が行われています。

    生物学的製剤
    最近、関節リウマチを中心として、生体内で何らかの働きをもっている物質の作用を抑える治療が盛んとなり、「生物学的製剤」と総称されています。
    主として、生体内の物質に対する抗体や、そのレセプターを阻害する物質が多く、全身性強皮症では自己抗体を作るリンパ球中のB細胞を消去する抗体(リッキシマブ)や線維化において重要な働きをすると考えられているTGF-ベータ(線維化を引き起こす因子)、CTGF(線維化を維持する働きを持つ因子)に対する抗体などが候補としてあげられています。特に、リツキシマブは、B細胞リンパ腫に対する抗がん薬と従来から使用されている薬剤であり、海外では関節リウマチに保険適応があります。強皮症に関しても、皮膚硬化や肺線維症に有効であることを示す報告が最近多数なされています。今後の検証にて、有効性が証明されることが期待されます。また、トシリズマブ(抗IL-6受容体抗体)は、関節リウマチに対して保険適応のある薬剤ですが、強皮症の皮膚硬化への有効性が期待されています。

    イマチニブ(検証中)
    抗がん薬として開発された「イマチニブ」に抗線維化作用があることが、最近報告され、全身性強皮症を含む各種線維化疾患での効果が期待されています。
  • 2.対症療法薬
  • 全身性強皮症の個々の症状に対して、その症状をやわらげて患者さんの生活の質を向上させるために投与されます。それぞれの症状で使われる薬は、「治療」の項でご紹介しましたので、省略します。

    (参照:竹原和彦、佐藤伸一、桑名正隆編著『強皮症のすべてがわかる本』保健同人社、2008、P.25-35)
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