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10月23日(火)
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外科手術

  • 手術の適応
  • 治療薬の進歩により、従来であれば外科治療が必要なケースでも手術が回避されることができるようになってきましたが、手術を考えなければいけないケースもあります。
    穿孔やガンの合併、腸閉塞、大量の出血が絶対的適応で、難治性の腸管狭窄やろう孔、膿瘍があるときには様子をみて行う相対的適応となります。実際には相対的適応が多くなっています。
    腸管を温存するため、狭窄に対する手術は狭窄形成術と病変がある腸管の小範囲の切除を行います。
  • クローン病の術式
  • 手術は炎症を残したままで吻合する場合が多く、最小範囲の手術となります。小腸は繰り返し切除していくと、どんどん短くなり経口からの摂取だけでは十分な栄養の吸収ができず、短腸症候群の状態となります。切除の範囲をできるだけ少なくして腸をとどめるため、狭窄形成術(狭窄の部分を縦方向に切開し、拡げて横方向に縫う)という方法が通常行われます。狭窄形成術後の再発、再手術率は腸切除と同じくらいであるとの報告もあります。
    狭窄の範囲によって、ハイネケミクリッツ法、フィニイ法、ジャボレイ法という方法があります。また、腸管を安静に保つため、人工肛門を造設することもあります。
    ・ハイネケミクリッツ法(最も多く行われている短い狭窄に適した術式。腸管を平行に4~5cm切開し、縦に縫う)
    ・フィニイ法(比較的長い狭窄に適した術式。7~8cm切開し縫合する)
    ・ジャボレイ法(狭窄がどんなに長くても実施できる術式。4cmずつ切開し側側吻合する)
    クローン病における特有の症状に痔ろうがあります。痔ろうに対しての手術はレイ・オープン法、くり抜き法、シートン法などの術式があります。
    ・レイ・オープン法(痔ろうをろう管に沿って切開開放する術式)
    ・くり抜き法(肛門の括約筋の損傷を少なくする手術術式)
    ・シートン法(ろう孔にゴム管などを通し、数週間―数ヵ月という時間をかけて膿を出して治癒させる術式)
    また、腹腔鏡を使用した手術も行われています。腹腔鏡下手術の利点は、身体への侵襲が少ない、美容的にも傷が小さい、入院期間が短いなどがあります。
  • 手術
  • 用意するもの
  • 以下の物を手術前日までに用意します。病院の売店や薬局に売っています。
    ・和式寝巻き(パジャマだとボタンが邪魔をします。前開きの浴衣ですとガーゼ交換や身体を拭く時に着脱しやすいのです)
    ・T字帯(ヒモと木綿でできているフンドシのようなもの。尿管カテーテル〈医療用に用いられる中空の柔らかい管のこと〉やドレーン〈術後の血液や浸出液、空気などを外に出すビニールの細い管のこと。痛みや炎症が軽減される〉が体に入っているので、普通の下着だと不都合が生じやすいのです。また、看護師も全身の状態を観察しやすく、傷口にも優しいのです)
    ・バスタオル(手術の後、体の下に敷きます。手術台からベッドに移動させる時、看護師が使用します)
    ・おむつ(術後は水様便が出やすく身動きをとるのも困難なので、T字帯の下におむつを履いたり、シーツの上に平型を敷いておきます)
    ・腹帯(開腹手術の後、傷口を保護するために使用する白布(さらし木綿)の帯。ウエストに合わせ適度にカットして使用します)
    ・吸い飲み(患者が寝たまま水を飲むために使用する、きゅうす形の容器。介助する人がいれば容態次第で、コップに曲がるストローを入れて飲むことも可能です)
    ・ティッシュ(痰や唾液を吐き出す)
  • 手術2、3日前
  • 担当の外科医、麻酔医、看護師が入院生活や手術の説明に病室を訪れます。わからないことがあれば遠慮なく聞きます(病院によっては医師の説明の際、家族の同席が必要な施設もあります)
    手術同意書や輸血同意書(輸血の可能性があれば)に署名・押印をします
    術前検査を受けます(血液、胸腹部X線、腹部超音波、心電図、呼吸機能など)
  • 手術前日
  • ・入浴、もしくはタオルで体を拭いたり洗髪してもらいます
    ・爪は短く切り、マニキュアは落とします(剃毛については、最近は全くしないか、脱毛クリーム化している傾向があるようです)

    ・深夜12時以降は食事禁止
    ・不安や緊張のため眠れない場合は、睡眠薬を処方してもらいます(特に要望しなくても消灯時間に持ってきてくれる病院もあります)
    ・ ストーマを造設する場合は、主治医と相談し事前に位置決めをします(ストーマサイトマーキング)
  • 手術当日
  • ・朝7時以降は絶飲食
    ・男性はヒゲを剃り女性は化粧禁止です。髪が長い人はゴムなどで結びます(ヘアピンなどは使用不可)

    ・付き添いの家族などが到着します(心の支えになる。手術後は、下着の洗濯など、身の回りの世話をする)
    ・手術1時間前に排尿、排便をすませ、和式寝巻きに着替えます(場合によっては浣腸も行う)
    ・麻酔を効きやすくしリラックスする効果がある筋肉注射をする場合があります
    ・準備が整ったらストレッチャー(搬送車)、車いすなどで手術室へ向かいます(途中まで家族は同行できます)
    ・手術台に移動する前に、体に掛けていた毛布などを、手術室用の掛け物(体にかける清潔な布)に替えて頭髪を覆うための帽子をかぶり、寝巻きを脱ぎます
    ・手術室には緊張をほぐすためにBGMが流れていることが多いようです。病院によっては事前に患者が聴きたい音楽を持参すると流してくれます
  • 手術室内
  • ・本人確認のため名前を確認され、自分で名前をいいます
    ・ベッドが狭いので、麻酔が安全に行えるよう、手と足を軽くバンドで抑えます
    ・心電図のシール、血圧計、測定器をつけ、手足をバンドで固定する
    ・麻酔が始まります。硬膜外麻酔、全身麻酔の順に行われます
    ■硬膜外麻酔(術後の痛みを和らげるために必要な麻酔)
    (1) 横向きに寝て、膝を抱えてエビのように体を丸めます
    (2) 背中(主に腰部が多いようです)にとても細い管(硬膜外留置カテーテル)を入れ、背中を走っている脊髄という太い神経のまわり(硬膜外腔)に局所麻酔薬を入れます。術後は持続注入器によってこのカテーテルから麻酔剤が入りますので鎮痛効果があります。
    脊椎麻酔との違いは、脊髄の一歩手前、硬膜を破らずに硬膜外腔で針を止めることです。硬膜を破ってくも膜下腔に進むと、脊髄の神経に近くなります。麻酔効果は高いのですが、髄膜炎を起こすこともあり一回しかできません。しかし硬膜外腔で留めておくと麻酔効果は高くないのですが、髄膜炎の可能性が低下し何度でも局所麻酔剤を入れることができるのです
    ■全身麻酔(手術中の苦痛を取り除くために必要な麻酔)
    (1) 仰向けになり、酸素マスクを顔にあてます
    (2) 麻酔薬を点滴から入れます(この時、血管が痛いときがあります)
    (3) 入れ始めてから数十秒で眠くなり意識がなくなります
    (4) 意識を失った後、人工呼吸用の管(気管内挿管チューブ)を喉の奥(気管)に入れ、管を噛まないよう、ゴム製の器具とともにテープで固定します。手術中はこのチューブから麻酔剤と酸素を吸っている状態なので麻酔が効き、呼吸もできていることになります。
  • 手術後の合併症 
  • ○腹腔内膿瘍……腸管の吻合部がうまくつながらず、腹腔内に便がもれたりして感染を起こし、膿がたまって、発熱や腹痛を起こします
    ○縫合不全……縫合した部分が破れて中身がもれてしまうことです。ステロイド剤を使用していると起こりやすくなります。術後一週間前後に発症することが多く、腹痛、発熱、悪寒、脈拍の増加、ドレーンから消化液の排出などの症状が出ます
    ○癒着……本来は離れているはずの組織面が、炎症や外傷によってくっついてしまうことです。ベッドの上で体を動かしたり院内を散歩するなど、積極的に体を動かすことによって防止できます。施設によっては手術の際に癒着防止材のフィルムを使用することもあります
    ○ステロイド離脱症候群……全身倦怠、頻脈、血圧低下、頭痛、発熱、電解質異常などが出現します
    ○尿管結石・胆石症
    ○誤嚥性肺炎……飲み込んだものが肺に侵入して起こる肺炎のことです。麻酔で正常な反射が鈍っていたりするような場合に起こりやすくなります
    ○悪心(吐き気)、嘔吐

    ○脱水症状……頻回の下痢、大腸の切除、経口摂取の禁止、術前の飢餓状態、消化吸収障害、腸閉塞の場合に水分と電解質のバランスを崩しやすくなります
    ○その他……人工呼吸用の管を抜き差しする際に舌、唇などが傷ついたり、歯が抜けたり欠けたりすることがあるので、自分の情報(義歯、ぐらつき、口が開きにくいなど)を事前に知らせておくことです。また、人工呼吸用の管を入れたことにより、数日間のどの痛み、声のかすれが起こり得ます。
    また、高齢者のかたですと、肺梗塞や心筋梗塞などが起こったり、肺炎や尿路感染が起こったり、肝臓や腎臓の機能が悪化することがあります
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