難病ドットコム 特定疾患・稀少疾患の医療情報提供サイト特定疾患・稀少疾患の医療情報提供サイト

 サイト内検索
9月20日(木)
文字サイズを変更大標準小

くすり

    太字は潰瘍性大腸炎に保険適用がある薬です
  • 5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)
  • 潰瘍性大腸炎の基本的な治療薬です。再燃している症状を抑える「寛解導入効果」と、寛解を長期間維持する「寛解維持効果」があります。
    サラゾスルファピリジンメサラジンがあります。
    5-ASAの徐放剤であるメサラジンは、胃などの上部消化管では溶けず小腸から大腸へ有効成分の5-ASAが放出されます(ドラッグデリバリーシステム)。
    安全性は高く、妊娠中に服用していても、お子さまへの影響はほとんどないと考えられています。

    下部大腸の病変には注腸タイプや坐薬タイプのものが用いられます。
    S状結腸から下行結腸には注腸タイプが、直腸のみに炎症が限定されているときは坐薬が使用されます。
  • 副腎皮質ステロイド
  • 強力な炎症抑制作用と免疫反応抑制作用を持つお薬で、潰瘍性大腸炎以外にも膠原病などさまざまな炎症性疾患に使われています。
    メサラジンで改善しない場合や再燃例の寛解導入目的、中等度以上の活動性を有する場合に適応となります。
    潰瘍性大腸炎の場合は経口での内服が中心となるかと思いますが、坐薬や注腸、点滴もあります。内服で改善しない場合は入院加療が必要で絶食による腸管の安静やステロイドの点滴の適応となります。
    有効性は高いお薬ですが、離脱・減量が困難になる例、副作用出現の例もあるので、ステロイドの投与は患者さんへの十分な説明と観察を慎重に行います。また、長期間の投与は、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死、用量を減量した際の離脱症状が出現するおそれもありますので短期間の使用が望ましいでしょう。
  • 免疫調整剤
  • 免疫抑制から免疫調節効果へと考え方が変わってきました。「過剰な免疫を調節する効果」という考え方です。補助薬としての治療効果ではなく、寛解導入と寛解維持効果を示すことがわかってきた免疫調整剤にはシクロスポリンA(CsA)、アザチオプリン、6―メルカプトプリン、 タクロリムスがあります。現在アザチオプリン(イムランR) タクロリムス水和剤が保険適用となっています。
    シクロスポリンAは臓器移植の拒絶反応を抑える薬剤として知られます。ステロイド抵抗性の重症難治性潰瘍性大腸炎に点滴で使われます。
    アザチオプリンは6―メルカプトプリンのプロドラッグです。吸収された6―メルカプトプリンはさらに6―TGNに変わり、免疫反応を抑制します。
    5―ASA製剤に6―メルカプトプリンの代謝酵素活性を阻害する作用があるため、併用によって骨髄抑制を来しやすくなる可能性を考え、5―ASA製剤の投与を中止することがあります。

    潰瘍性大腸炎で免疫調節剤の適応となるのは難治症例です。
    ・ステロイド抵抗性症例
     適正なステロイドの投与にもかかわらず1~2週間以内に明らかな改善を認めない症例で、適正な投与量とは通常プレドニゾロン(PSL)で40~60㎎/日程度です。
    ・ ステロイド依存性症例
     ステロイドが有効であるが、減量すると再燃を繰り返すためステロイドからの離脱が困難な症例です。
    ステロイド抵抗性の難治症例において寛解導入を目的に用いる免疫調節剤がシクロスポリン(CsA)です。また、CsAによる寛解導入後の寛解維持療法またはステロイド依存性の難治症例においてステロイドの減量、中止および寛解維持を目的に用いられる免疫調節剤がアザチオプリン(AZP)とメルカプトプリン(6―MP)です。
  • タクロリムス
  • 日本で開発された免疫調整剤です。2009年7月に「難冶性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(中等症~重症に限る)」に対して保険適用になりました。その作用はTリンパ球の活性化を抑制することです。タクロリムスを用いた治療は3ヶ月以内と定められており、最初の2週間は高い血中濃度を維持して寛解に導き、その後は血中濃度を低く設定して続けます。
  • シクロスポリン(CsA)
  • CsAは本邦ではまだ保険適用となっていませんが、厚生労働省研究班の治療指針にも明記されており、CsAの導入によりステロイド抵抗性難治症例でも手術を回避し、寛解導入できる症例があります。
    通常、中心静脈栄養(IVH)管理下にCsAを24時間持続静注療法にて投与します。有効濃度の維持および副作用発現予防のため、CsA投与中は血中濃度を測定する必要があります。
    作用発現が極めて速く、多くの症例で投与開始後7日以内には血便、腹痛の軽減など臨床症状の改善を認めます。原則、2週間の持続静注療法を施行し、臨床症状、血液検査所見、内視鏡所見の改善を認めれば寛解と判定して、食事を開始しCsAを経口薬に替えます。
    CsAの副作用としては、腎障害、肝障害、高血圧、中枢神経症状、頭痛、手指振戦、歯肉炎、多毛などが報告されています。妊娠中の投与に関しては問題ないという報告もありますが、現時点では避けることが望ましいでしょう。
  • アザチオプリン/メルカプトプリン (AZA/6―MP)
  • AZA/6―MPは効果発現までに通常3~4ヵ月を要するため、ステロイドのような即効性はなく、ステロイド抵抗性症例の寛解導入には適しません。CsAによる寛解導入後の寛解維持療法またはステロイド依存性症例のステロイドの減量、離脱および寛解維持を目的として用いる免疫調節剤です。
    CsAによる寛解導入後の寛解維持療法でAZA/6―MPを用いる場合、 AZA/6―MP投与後もしばらく経口剤のCsAを継続投与しAZA/6―MPの効果が発現するのを待って経口CsAの投与を中止とし、以後AZA/6―MPと5―ASA製剤を併用して維持療法を行うのが標準的です。

    ステロイドを減量すると再燃を繰り返す、ステロイド依存性の難治症例では、ステロイドからの離脱をはかる目的でAZA/6―MPを投与します。経口でAZA(1錠50㎎)50㎎、6―MP(散剤100㎎/g)30㎎を初期投与量として白血球減少などの副作用に注意しながら最終的にはAZAは1.0~3.0㎎/㎏、6―MPは1.0~1.5㎎/㎏を目標に増量し継続投与します。
    副作用としては、投与量に関係なく出現するものと投与量に依存して出現するものがあります。前者には発熱、発疹、倦怠感、嘔気、下痢などがあり、後者には骨髄抑制、脱毛、感染症などがあります。副作用は投与後数週間以内に好発しますが、1年以上経過してから発生する場合もあるので注意深い観察が必要です。
    催奇形性、妊娠、出産、授乳に関しては影響がないという報告もありますが、動物実験で多量投与による催奇形性が確認されていることもあり、妊娠適齢期の女性患者には他の治療法を選択するのが望ましいでしょう。
  • インフリキシマブ
  • インフリキシマブは2010年6月に潰瘍性大腸炎の治療薬として保険が適用されるようになりました。
    特定のたんぱく質の分子を対象にした、分子標的治療として生まれた生物製剤です。炎症や潰瘍を引き起こすサイトカインを人工たんぱく質が攻撃して、その働きを抑制することでクローン病の活動性を抑えます。今後、クローン病だけでなく、潰瘍性大腸炎にも使用される可能性が高まっています。
    白血球のひとつである、免疫機能をになうマクロファージから産生される炎症性サイトカインが、TNFα(腫瘍壊死因子)です。
    免疫系が活発に反応して、本来は身体を守るサイトカインであるTNFαが過剰に放出されると、他の炎症性サイトカインの産生が促進されて腸管に潰瘍ができます。
    そこでインフリキシマブは、抗体としてTNFαというたんぱく質に結合して中和したり、TNFαを産生している細胞そのもを壊すことで、TNFαが引き起こす炎症を抑制します。
    インフリキシマブの投与に際しては、免疫力の低下を招くので結核などの感染症に注意する必要があります。そのため、投与前にツベルクリン検査、エックス線検査で、結核の可能性を否定してすることが大切です。
    また、患者さんの過去の既往症や現在の状態でインフリキシマブを投与できない場合もありますので、主治医の判断のもと適切な投与が必要になります。
    投与方法は、初回投与後、2週後、6週後に点滴し、それ以降は8週間おきに点滴投与します。投与量は体重1kgあたり5mgで、1回の点滴は約2時間かけてゆっくりと行います。点滴中は、血圧・体温・呼吸数などを測定して点滴投与時に起こる投与時反応(悪心、顔面紅潮、動悸、掻痒感やアレルギー症状など)をチェックします。
  • アダリムマブ
  • 2013年に潰瘍性大腸炎に関する効能・効果が承認され、保険適用となったヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体です。中等症又は重症の潰瘍性大腸炎に対して唯一自己注射可能な皮下注射型の生物学的製剤です。
  • 栄養療法
  • 新しい薬物療法が登場して治療の選択肢が増えてきました。栄養療法が寛解導入と寛解維持に効果があり、有効性と安全性の点からも基礎的な治療法であることは今後も変わらないと思います。患者さんの病状や生活などによって使い分けていくことが重要でしょう。
  • 鎮痛剤
  • 腹痛時に使用します。臭化ブチルスコポラミン、フロプロピオンなどです。臭化ブチルスコポラミンは、出血性大腸炎、緑内障、前立腺肥大による排尿障害、重篤な心疾患、麻痺性イレウスなど、禁忌に注意して使用することが重要です。
  • その他のくすり
  • NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)
  • ロキソプロフェン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェンなどがありますが、消化管に粘膜障害を起こすことがあるので、慎重に投与する必要があります。
    アセトアミノフェンはNSAIDsと比較すると副作用は少ないのですが、鎮痛効果は弱くなります。
  • 止血剤(カルバゾクロム スルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸)
  • 粘膜潰瘍やびらんからの出血に対して、止血剤の効果はあまり期待できません。粘血便に止血剤の慢性持続投与は行わないのが一般的ですので、多量出血の場合は、いち早く診療を受けて下さい。
  • 鉄剤
  • 鉄欠乏性貧血になった場合には鉄剤の内服をします。しかし内服に伴って胃部不快感や下痢症状もあります。鉄分は夜間に多く吸収されるので就寝前の服用が効果的です。ビタミンCも摂取すると吸収効率が上がります。鉄剤の内服前後に緑茶や紅茶を飲むとタンニン酸が鉄の吸収を阻害するので避けましょう。
  • 下痢止め
  • 塩酸ロペラミドは小腸の蠕動を抑制し、水分の吸収を促進することにより下痢を止めます。偽膜性腸炎、出血性大腸炎には禁忌とされまていますし潰瘍性大腸炎の患者さんには慎重投与となります。
    副作用として発疹、肝機能障害、便秘、腹部膨満、口渇、眠気、めまいがあります。潰瘍性大腸炎の患者さんでは、内視鏡的に粘膜が治癒している場合にもかかわらず排便回数が多いためにQOLが損なわれているケースでは1日1~3カプセルの投与は可能です。
    臭化メペンゾラートは抗コリン剤です。選択的に下部消化管に対する鎮痙作用を有します。抗コリン作用があるため、緑内障、前立腺肥大による排尿障害、重篤な心疾患、麻痺性イレウスのある患者さんには禁忌です。活動期の潰瘍性大腸炎、甲状腺機能亢進症、心不全、不整脈などには慎重投与を要します。
  • 副作用に気をつけたいくすり
  • 下痢止めのなかには連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれのある薬剤があったりしますので、主治医・薬剤師とよく相談しましょう。

    ・ヨウ化イソプロパミド(風邪薬)
     塩酸フェニルプロパノールアミン(中毒性巨大結腸のおそれ)
     塩酸ジフェニルピラリン
    ・金チオリンゴ酸ナトリウム(劇症大腸炎があらわれることがある)
    ・レセルピン(交感神経抑制より蠕動運動が亢進し胃酸分泌も増大、症状が悪化するおそれ)
    ・コデインリン酸塩散1%(重篤な炎症性腸疾患のある患者[連用した場合、中毒性巨大結腸症になるおそれがある。])
  • 新しいくすり
  • 現在、日本では武田薬品工業がヒト化α4β7インテグリンモノクローナル抗体「vedolizumab」を、科研および旭硝子がPGE受容体EP4アゴニスト「KAG-308」を開発中です。
    海外では、GMA、ヒト化型抗CD3抗体(Visilizumab)など多くがあります。
    また、メサラジンは小腸から成分の放出が始まり、服用量の半分程度しか大腸で放出されないというデメリットがあります。そこで、5─ASA製剤で、小腸で溶解せずに大腸で溶け出し、1日1回の服用で済む軽症から中等の潰瘍性大腸炎用製剤が欧米で開発され、持田製薬が日本での開発・販売権を取得し、現在開発中です。
  • 医薬品・機器メーカーの潰瘍性大腸炎患者向けIBDサイト
当サイトのコンテンツで、クリックすると外部のウェブサイトに直接リンクを設定している箇所があります。 ウェブ・アクセシビリティ向上のため(利用者の意図しないページの移動は行なわない)新規ウインドウではなく、 難病ドットコムと同じウインドウ内に開きます。 しかし第三者の管理するリンク先は弊社とは関係なく、ウェブサイトの内容・安全性を 弊社が保証するものではありません。   また、リンクは当サイト利用者への情報ナビゲート、及びQOL向上の便宜を図るため 参考資料として提供しております。 リンク先との間に提携などの特別関係はなく、商品・サービスの推薦を意図しているものではありません。 リンク先サイトの閲覧と利用はそれぞれのサイトの利用条件・個人情報保護方針等をご確認ください。